◆風のバトン
├第2章 In the Wind
└第40話
━━━━━━━━★☆
女子のバスの中で蝶子は、すっかり忘れていたお弁当を取り出し呆然としていた。
正直、あまり料理が得意というわけではなかった。
でもみんなが張り切ってるのを見て、なんだかじっとしてられなくなって。
ほかの人が作ったお弁当を食べるとこなんて見たくないもの・・・
一念発起して本やサイトを調べて。
栄養とか、彩りとかがんばって考えたつもり。
それでも堀井さんが気に入ってくれるかどうか心配だった。
そんなにいろいろ悩んだお弁当を渡し忘れるなんて!
なんてドジなんだろう・・・
お弁当を手に、あたしは泣きそうだった。
そのとき、肩をポンと叩かれた。
振り返ると古田さんの笑顔があった。
「男子のバス、交差点で止まってるわよ。渋滞してるみたい」
ウィンクした古田さんの言おうとしてることに気づいたとき、あたしは立ち上がっていた。
「すみません、降ろしてください!」
無理はしないでね、という古田さんの声を背に、あたしはバスを降り走り出した。
お弁当を傾けないように気をつけながら。
順調に男子のバスに近づいていき、後もう少し・・・というところで。
信号が変わった。
バスが走り出す・・・!
「待って!」
とても馬鹿なことをしてるのかもしれない。
でもあたしが気持ちを伝えるには・・・
走るしかないんだ!
窓の中に堀井さんの顔が見えた。
ガラス越しの彼の顔が、驚いていた。
【第二章「In the Wind」の最新記事】


